ほしの、おうじさま
そしてそう会話を締め括り、通話を切る。


「…ふ~」


その瞬間、静かに息を吐き出しつつ、専用機器を頭から外した高橋さんの顔付きは、すっかりいつものアンニュイ感漂うものに戻っていた。


「やれやれ、終わった終わった…」


呟かれた言葉もいつもながらの抑揚に乏しい、ボソボソと内にこもったものだ。


「無事解決ですね」

「ああ。本人へのペナルティについても、すんなりとご納得いただけたし。むしろ、『分かってもらえればもうそれで良いので、あまり厳しい処罰は望んでいません』っていう風にまで言ってもらえたしな」

「高橋さんの誠意ある対応に好感を持っていただけたからですよ。いつもながらお見事です」

「す、素晴らしかったです!」


そこで私は思わず感嘆の声を漏らした。


「終始お客様への真摯な姿勢が窺える語り口で、もし私が意見を出す側だったとして、ああいう風に対応してもらえたら、それまで抱いていた怒りもす~っと治まると思います」

「な?見学しておいて正解だっただろ?」


私の発言が終わった所で間髪入れずに渡辺さんはそう問い掛けて来た。


「今日はまぁ比較的寛大なお客様だったけど、過去には色々あって、その度に高橋さんの巧みな話術で事なきを得て来たんだよ」
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