ほしの、おうじさま
入口から程近いロッカー前で、膝を抱え、そこに顔を埋めるようにして座り込んでいる人物がいたから。
そして同時に、服装や髪型や体のフォルムで、それが誰であるかを察知した。
「え?の、野崎さん…?」
私の呼び掛けに、一呼吸置いてからノロノロと顔を上げ、こちらに視線を向けたのは、やはり彼女であった。
しかしその瞳は赤く充血し、この上なく水分過多であったので、私はますますドギマギしながら問い掛ける。
「ど、どうしたの?何かあったの?今仕事中じゃ…」
「違うわよ」
私の問いかけをぶったぎるようにして野崎さんは呟いた。
「私今、昼休みだもの」
そこで私は『あ、そうか』とすぐに理解した。
「受付も交替制云々」という話を昨日したばかりだもんね。
「え、えと、それじゃあ何でこんな所で…」
「すんごいムカつく事があったから悔し泣きしてたのよ」
野崎さんはあっさりと涙の理由を暴露した。
「ムカつくこと…?」
「この前あんたの所の派遣が堂々とエレベーターを使ってたから注意したのよ。そしたらその場面を、外部のお客様が目撃してたらしくて」
相変わらず不機嫌そうな声音で紡がれた言葉にドキリとした。
これまた昨日聞いたばかりの、強く印象に残っていたエピソードを野崎さん本人の口から語られたからだ。
「お客様はシステム部を訪れていた方で、そこの社員に自分が見た事をチクったらしいのよ。そして今度は社員から上司、上司から秘書課長へと話が伝わって、すぐに私が犯人だって事がバレて、さっき呼び出しを受けたの」
そして同時に、服装や髪型や体のフォルムで、それが誰であるかを察知した。
「え?の、野崎さん…?」
私の呼び掛けに、一呼吸置いてからノロノロと顔を上げ、こちらに視線を向けたのは、やはり彼女であった。
しかしその瞳は赤く充血し、この上なく水分過多であったので、私はますますドギマギしながら問い掛ける。
「ど、どうしたの?何かあったの?今仕事中じゃ…」
「違うわよ」
私の問いかけをぶったぎるようにして野崎さんは呟いた。
「私今、昼休みだもの」
そこで私は『あ、そうか』とすぐに理解した。
「受付も交替制云々」という話を昨日したばかりだもんね。
「え、えと、それじゃあ何でこんな所で…」
「すんごいムカつく事があったから悔し泣きしてたのよ」
野崎さんはあっさりと涙の理由を暴露した。
「ムカつくこと…?」
「この前あんたの所の派遣が堂々とエレベーターを使ってたから注意したのよ。そしたらその場面を、外部のお客様が目撃してたらしくて」
相変わらず不機嫌そうな声音で紡がれた言葉にドキリとした。
これまた昨日聞いたばかりの、強く印象に残っていたエピソードを野崎さん本人の口から語られたからだ。
「お客様はシステム部を訪れていた方で、そこの社員に自分が見た事をチクったらしいのよ。そして今度は社員から上司、上司から秘書課長へと話が伝わって、すぐに私が犯人だって事がバレて、さっき呼び出しを受けたの」