ほしの、おうじさま
「野崎さんは派遣さんに対しての親切心、正義感から、そういった行動を取ったっていう訳なんだね」

「そうよ」

「でも、上の方からすると、それはやっちゃいけない事だったんだ」

これ以上興奮させないよう、細心の注意を払いながら言葉を繋ぐ。

「とにかく、どんな事でも上司への報告連絡相談は必須ってことなんだね。私も勉強になったなー」

「……は?」

「まだ私達、入社して間もないもんね。色々勘違いして覚えているルールもあるかもしれないし、まずは上の方に自分の考えを聞いてもらった方が良いよね。そうすればその段階で正解かどうかが分かるし。今回の件でそれが学べた訳だから、不幸中の幸いだったと思うよ。新人として一つ、ステップアップできたって事で…」
「何よそれ」

しかし私の努力は無駄に終わった。

「信じられない。仲間が上司に怒られて目の前で泣いてるってのに、そんな慰め方ってある?」

むしろ野崎さんの怒りの炎に新たな燃料を投下してしまったようだ。

「余計な事は言わずに、ただ素直に『大変だったね、野崎さんは悪くないよ』って、慰めればそれで良いのよ!何であんたみたいなトロくさい子にそんな上から目線で偉そうに諭されなくちゃいけない訳!?」

「え、えと…」

「自分のとこの派遣だからってかばってあげてるつもり?別にあの人達にそんな義理立てする必要なんかないでしょ?」
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