ほしの、おうじさま
こちらが希望して上からもOKが出れば、契約社員、更には正社員になる事も可能だったし。
とにかく私は「ビジネス上でお客様から苦言を呈される」というシチュエーションには免疫があり、鋼の精神で対応できる自信があった。
だから面接時にその話題を振られた瞬間、『これはチャンスじゃない?』と思ったのだ。
全くセールスポイントのない私が、唯一胸を張ってアピールできる長所だから。
ここぞとばかりに「最初は負の感情を抱いていたお客様に、適切な対応をしてご納得いただけて、その後リピーターになっていただけたとしたら大変喜ばしいことです。お客様から寄せられた苦情に向き合い、改善策を探る事は、会社の更なる発展、そして自分自身の成長へと繋がる重要かつ貴重な経験であると思っています」と熱弁を奮ってしまった。

いや、実はこの言葉は、そのバイト先の社員さんからの受け売りなんだけれども。
でも、私も全くその通りだと思うので、ちゃっかり拝借させていただいた。
その時の熱意が買われ、私は無事0to0に採用され、件の部署に配属になったのだろう。
そして今日この会場に着き、勤務地ごとに分けられているという席に着いた所で同じ並びの一番左端に星野君の姿を発見し、彼もこの会社に受かり、なおかつ私と同じ東京本部に配属されたのだという事を知り、心の中で小躍りした。
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