ほしの、おうじさま
実は入社式の前に、地区ごとの懇親会が開かれていたので、それに出席していればその時点で知り得た事実だったのだけれど。
しかしその時期私は何とインフルエンザにかかってしまっていて、病院以外への外出禁止令が出ていたので懇親会などもってのほかだったのだ。
なので入社式にて初めて同期の顔ぶれを知ったという訳だ。
残念ながら部署は分かれてしまったけれど、とにかく彼と同じビル内で働ける事は確定なので、私はこの上なく浮かれた。
その気持ちを持続しながら流れに従って会場を出て、ルンルン気分でロビーを歩いていたのだけれど…。
『ったく、つくづく邪魔な奴だな』
背後からとても憎々しげな声が聞こえて来た。
「え?ごめんなさい」
言いながら、私は慌てて右に避けつつ振り返る。
どうやら後ろの人の行く手を遮ってしまっていたらしい。
周りと歩調を合わせていたつもりだったけど、夢見心地で歩を進めていたものだから、きっと微妙にずれてしまっていたのだろう。
「は?」
しかし、私の背後にいたその男性は怪訝な表情で言葉を発した。
「何謝ってんだよ?俺、何も言ってねーけど?」
「え?」
思わずポカンとしながら返答する。
「で、でも、今確かに…」
「変な奴」
みなまで言わせず男性は吐き捨てるようにそう呟くと、歩く速度を上げて私を追い越し、他の人の間もすり抜けて遥か先まで行ってしまった。
しかしその時期私は何とインフルエンザにかかってしまっていて、病院以外への外出禁止令が出ていたので懇親会などもってのほかだったのだ。
なので入社式にて初めて同期の顔ぶれを知ったという訳だ。
残念ながら部署は分かれてしまったけれど、とにかく彼と同じビル内で働ける事は確定なので、私はこの上なく浮かれた。
その気持ちを持続しながら流れに従って会場を出て、ルンルン気分でロビーを歩いていたのだけれど…。
『ったく、つくづく邪魔な奴だな』
背後からとても憎々しげな声が聞こえて来た。
「え?ごめんなさい」
言いながら、私は慌てて右に避けつつ振り返る。
どうやら後ろの人の行く手を遮ってしまっていたらしい。
周りと歩調を合わせていたつもりだったけど、夢見心地で歩を進めていたものだから、きっと微妙にずれてしまっていたのだろう。
「は?」
しかし、私の背後にいたその男性は怪訝な表情で言葉を発した。
「何謝ってんだよ?俺、何も言ってねーけど?」
「え?」
思わずポカンとしながら返答する。
「で、でも、今確かに…」
「変な奴」
みなまで言わせず男性は吐き捨てるようにそう呟くと、歩く速度を上げて私を追い越し、他の人の間もすり抜けて遥か先まで行ってしまった。