ほしの、おうじさま
もちろん、「何しに会社に行ってるんだ」と突っ込まれることうけあいなので、この気持ちは家族にも友人にも内緒にしているけれど。
そしてこれから一緒に仕事をして行く人達にも明かすつもりはない。
ひっそりこっそりミーハーに、星野君ウォッチングを楽しむつもりだ。
だって、これから私にとっては怒濤の日々が押し寄せて来るんだもん。
それくらいの張り合いというか、心の拠り所を作っておかないと、すぐに挫折してしまいそう。
きっとお仕事の神様だって恋する乙女のささやかな娯楽は許してくれるハズ。
そう自分に言い聞かせながら文化会館を後にし、バスと電車を乗り継いで、つい最近引っ越して来たばかりの独り暮らしのアパートへとたどり着いた。

翌朝、ドキドキしながら本部ビルに出勤し、ロビーに待機していた人事部の担当者から、首にかけるタイプの社員証を受け取った後、研修会場である7階の大会議室を目指す。
事前に渡されている資料に「当日は一階で受付を済ませ、8時45分までに席に着いていること」とあったので、それに間に合うようにするのは当然のことながら、更に精神を落ち着かせる時間が欲しかったので、大分早めにアパートを出て来た。
結果、30分前に会場に着く事となったのだけれど、それでもすでに席に腰かけている人が数人いて、その方達に「おはようございます」と声をかけた。
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