鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『着いた…あ、俺明太マヨで』
『私も明太マヨ!』
店員さんに注文して、今度は先に払われないようにお金を渡した。
ちゃっかり、葵の分もね。
『俺の分、払うよ』
『いーよ、お返しだから』
お礼も含めたお返し、なんて言わないけど。
言ったら、なんとなく調子乗りそうだし。
わざと明るく振舞って私を連れ出してくれた葵には、本当感謝しなきゃ。
『明太マヨ2つ、お待たせ』
『ありがとうございました』
店員さんからたこ焼きを受け取った葵の腕を引いて椅子に座る。
早く食べたいし…!
『風花。絶対熱いから焦って食べるなよ?』
『アツッ…!』
忠告してくれた葵の言葉は、いそいそとパッケージを開けてたこ焼きを頬張った私とほぼ同時で。
一歩遅く、くちの中に入れたたこ焼きの熱さに思わず涙が浮かんできた。
『……だから言ったのに…ほら、水』
呆れたように笑った葵から受け取った水をがぶ飲みして、たこ焼きを飲み込んで一旦落ち着かせる。
『……ありがと』
『どーも。
見るからに熱いだろ、これ』