鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
そう言いながら葵が半分に割ったたこ焼きから白い湯気がたっているのを見て、また口の中が熱くなってくる。
『葵の忠告が遅かった』
『お前が食べるのが早かったの。
俺のせいにするな』
『……美味しかったけどね』
熱くてあまり味分からなかったけど。
いつも食べてるたこ焼きと同じ味がしたような気がするし。
もう少ししてから食べたら、きっと美味しんだろうなー…。
『食べさせてやろうか?』
『遠慮しまーす』
半分に割ったたこ焼きを冷まして、私の目の前に持ってきた葵から顔をそらしてそう返す。
何やってるの、葵!
私、そういうの慣れてないから…どう対応すればいいかわかんないよ‼︎
『あーあ。せっかく美味そうなのに…』
だから、そう言われても対応が…!
『まぁ、風花が食べないなら俺が食べるか』
そんな声が聞こえてきた瞬間、思わず葵の方を振り返ってしまって。
私を見て口角を上げた葵に、慌てて引きつった笑みで返す。
振り返っちゃったよ…私の馬鹿。
『ほら、食べるんだろ?』