鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
わざと明るく振舞って、斎藤君のことを頭の中から消し去る。
『あー…別に、1人で行けないわけじゃないけど。
俺、実は甘いものが好きでさ。
隠れ名店っていうの? 美味しそうなお店見つけたんだけど、1人じゃ行きづらくて』
…葵くんも甘党なのか。
良く考えてみれば、斎藤君も甘党だったし。
男子の中にも結構甘党な人もいるのかな?
『私も甘いもの好きだし。
是非ともお供させて下さい』
そう言った私を見て一瞬だけ固まった葵くんは、何かが吹っ切れたように笑って、さっき離したはずの私の手を取る。
『えっ…⁉︎』
『風花ちゃんって、本当可愛い。
俺、絶対おとしてみせるよ』
子供っぽく、無邪気に笑った葵くんを見つめると、私の手を引いて、葵くんが近くの路地に入っていく。
『葵くん?』
『ここら辺にしかないの、この店。
ほら、甘い匂い…するでしょ?』
葵くんの言葉に当たりをただよう甘い香りに気づいて、横にあった店に視線を向ける。
『わぁ…』
路地にあるこの店は、どことなくオシャレな雰囲気で、思わず店の外見だけで見とれてしまいそうなほど可愛い店だった。
…確かに、ここには1人で入りにくいかも。
顔を赤らめながら言っていた葵くんを思い出してクスッと笑うと、葵くんが勘付いたように私の頭を軽く小突いた。