libido
「君は、どこまでも君なんだな」

初めてプレゼントを渡した直後、そんな言葉が返ってきた。

「ありがとう、嬉しいよ」

コース料理のデザートを後に控えた間に渡したプレゼントは彼の好きな赤ワイン。

「あの、どういう意味ですか?」

普段、何を言われても意味を探ろうとしない私がそれを聞いたのは、多分今日がクリスマスで、普段よりお酒が進んでいたから。

「深い意味は無いけど、」

その言葉の続きを聞けなかったのは、お店のスタッフが個室のドアをノックしたからだった。

ノックの音に彼も私も口を閉ざしてしまった。
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