だから、お前はほっとけねぇんだよ

「つけてやるよ」


「えっ。う、うん」



返事をすると、指輪をあたしの手のひらから取る琥侑。

そしてゆっくりとあたしの右手の薬指に、指輪をはめてくれた。



ちょうど月の光が指輪に当たり、輝きを放つ。

キレイ……



「ありがとう……」



思わず、涙が零れた。



「……なんで泣くんだよ」



あたしの涙を見て、琥侑は少し焦った色を見せる。



「だ、だって……」


……だって今日は何だか嬉しいこと続きで、どうにかなっちゃいそうなんだもん。



「……大丈夫、すぐ止めるから」



あたしはそう言ってゴシゴシと浴衣の裾で目頭を擦った。



……遠くのほうで、太鼓の音がする。



賑わっている屋台の場所から離れた神社付近は、静かな時が流れていた。


サワサワと風で葉が擦れる音とともに、向かい風があたしの髪を乗せて過ぎていく。




「ヒメ」



名前を呼ばれ琥侑を見上げると、さっきよりも近い距離。


近距離で見てもやっぱり琥侑の顔は綺麗で、思わず息を呑んだ。

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