GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
律は続けた。

「俺ね、もう魅惑の血を探すのに疲れたんだ。探すのは藍で最後にしたい。だから偉大なる犠牲を払う事にしたんだ」

「……偉大なる、犠牲?」

心臓が痛いほど脈打つ。

一体何の事がさっぱり分からないのに、律がしようとしている事が怖い。

喉の奥がカラカラで、重苦しくて痛い。

「……それって……なに?」

律が、私を真顔で見つめた。

「そうだね……藍には話しておくよ」

こう切り出すと、律は私から視線をそらし、天井に描かれた有名なフレスコ画の模写を見つめた。

「清雪様を殺すことにしたよ。ここにいる全員の意見は一致してるんだ」

ドキンと鼓動が跳ねた。

「え?」

私の声は掠れていたけど、律は構わずに続けた。
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