GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
血走った眼で、小刻みに震えながら声を荒げる律が怖くて堪らない。

眼を見開いたままの私に、律がポツンと呟くように言った。

「清雪様にはもう十分忠誠を尽くした。これからは自分だけのために生きたいんだ」

自分だけのために生きる……。

律がふわりと笑った。

「……ねえ、藍。永遠って、一体いつまでなんだろう。永遠って……残酷だよね」

……永遠。残酷。

正直、律ほど長く生きていない私には永遠が分からない。

なにも言えない私を見ずに、律が視線をあげた。

その時、わずかに靴音が聞こえた。

「……清雪様がお付きになられた」

律が姿勢をただして出入り口を開けると、そこにひとりの青年が現れた。
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