GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
……やっぱり彼だ。

透き通るような白い肌と、まるで人形のような美しく整った顔。

……いつか律のビジョンを通して見たあの男性だった。

「お待ちしておりました、清雪様」

律がそう言って頭を下げると、清雪がゆっくりと頷いて口を開いた。

「待たせたね、律。……ファシネイティングブラッド……魅惑の血の調達、御苦労様」

労いの言葉と共に清雪が律に向けていた視線を私に移した。

「さあ、始めよう」

律が頷いて瀬里に口を開いた。

「瀬里、デキャンタを」

「……はい」

今頃になって、ようやく血を吸われる恐怖が込み上げてきた。
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