一枚から始まったラブレター
お母さんには何回か咲人の話をしたんだけど、「今でもその子が好きなの?」とか聞いてきて、その話になる度に私の頬が赤くなるばかり。

お母さんはその都度、ニコニコと微笑んでくれる。


10年も咲人への想いを持ち続けてた自分にビックリした。
でもこれは現実でもあり得るんだよね。

芸能人のファンの人とかでも、何十年もその人の事を想い続けて、ずっと応援してるんだもん!!

その姿が素敵だなぁ、と思う。
だから恥ずかしがらないで、その気持ちを大切にした方がいいよね。

人に言われ、恋を諦めようとした自分がいて、次いつ咲人に会えるか分からないし、もしかしたら一生咲人に会えないんじゃないかと時々不安になった。

それに私の事を忘れてるかもしれないって。

でもそれでもいい。

咲人に会いたい気持ちがちゃんと叶ったから。



私は今日咲人に会うことをお母さんに伝え、家を出てきた。
お母さんは「頑張んなさいよ!」って背中を後押ししてくれて、今とても幸せな気分。

浮かれて転びそうなんて誰にも言えない。


さくら坂公園に着くと、クリスマスの日だからか手を繋いで仲良くしてるカップルがいたり、皆幸せそうな笑みを浮かべている。

クリスマスソングが流れるさくら坂公園が、カップルを雪で包むように一気に降り始め、辺りがガヤガヤと賑やかになっていく。


雪ってこんなにも人を温かくするんだね。
マフラーを彼女さんの首にかけてあげたり、皆楽しそうでいいなーなんて、浮かれてる自分がそこにいる。


咲人まだかな。

そんな時、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
< 22 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop