ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


夜ご飯がいらないと電話をした時のことを思い出した。

あの反応はこれを用意してたから?でも、どうして、あきくんはわたしの誕生日だって分かったんだろう。

あきくんと過ごしてきた記憶を遡る。

"そういえば、あゆさんって何歳だっけ?"

"今は20歳だよ。来月の5日に21歳になる"

そういえば、こんな会話をした。あれは確か4月の初旬。あきくんが住み着いてすぐの出来事──初めて一緒に桜を見に行った日だ。

あの時くらいしか話した記憶がない。あの一言をあきくんは覚えていたの?

申し訳ない気持ちと、こうして誕生日を祝ってくれようとしてくれたことへの嬉しさとが入り混じって感情がぐちゃぐちゃに混ざる。

ヒデキさんにとってはわたしの誕生日なんか特別じゃない。でも、あきくんはこうしてケーキを準備してくれて、わたしの帰りを待っていたんだ。

あきくんはわたしの誕生日なんか知らないと勝手に思ってた。

わたしは一緒に過ごす相手を間違えた、確実に。


< 107 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop