ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


「そんな訳ないよな。家族はもう前からみんな違う方向を見ていたんだ。全く気づかなかった俺はバカだ。本当に。失ってから大変さに気づく大バカだ」

ふと、ヒデキさんのことを思い出した。あの人、離婚の理由はセックスレスって言ってた。それがキッカケでギスギスし始めたって。

愛がなくてもできるんだからセックスが全てということはないだろうけど、何らかの指標にはなるということなのかな。

タクヤさんもヒデキさんみたいに我が子にほとんど会えなくなるのだろうか。相手が再婚したら、もう2度と会えないのかもしれない。

お互い不倫はしてたんだ。タクヤさんだって悪いことしているのにこれからのことを考えたらタクヤさんのことが少し可哀想に思えてきた。

それは女の子の写真を見ながらタバコを吸っているヒデキさんを見てきたからかもしれない。

ヒデキさんのタバコを吸う姿がぼんやりと脳裏に浮かんだ。

「あゆ、俺さ、今すごく寂しいんだ」

タクヤさんは手のひらを開いて、それをそのまま胸の高さまで上げた。手のひらをぼんやりと見つめる。手に握っていたものがなくなった、そんな瞳をしている。


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