ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


カオルといつも会っていたのはこの家だった。だから最後に会うのもこの家。不思議な話ではない。

あきくんの顔が浮かんだ。でも、カオルと会って何かをするわけでもないし、本当に話すだけ。雰囲気に流されるようなことはもうない。

だから、大丈夫。

『分かった。今日の昼過ぎに来れる?』

少し話すだけだ。そう、終わらせるために。

『行けるよ。今日休みだから。またあゆちゃんちの近くになったら連絡する』

カオルは基本的に返信が早い。たまに本当に文章読んでるのかなって疑いたくなるくらしい。

『分かった。また連絡して』

スマホの画面を暗くしてテーブルの上に置いた。

カオルが来るのはいつぶりだろう。あきくんに誕生日を祝ってもらってからヒデキさんともカオルとも会っていない。

今はあきくんが着ているジャージはもともとカオルに貸していたものだ。この家に初めて来た男もカオルだ。

カオルとの恋愛ごっこの記憶を塗りつぶしてしまうくらい、この家にはあきくんと過ごした日々が詰まっている。

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