ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


それで、家を出ちゃうの?

「この関係、もう終わろうよ」

あきくんが家からいなくなる。そうなると、わたしとあきくんを繋ぐものは何もなくなる。

職場も違う。住む場所が離れたら街中でバッタリということもなくなる。

それって、つまり、あきくんには2度と会えないってこと?

「やだ……」

やだ。

わたしまだあきくんに何も伝えてない。このまま終わるなんてやだ。

「あきくん出ていかないで」

視界がボヤける。涙が目にたまる前に暖かいものが頬を伝った。それはもうポロポロと、次から次へと溢れてくる。

「わたし、あきくんのことが好き、一緒にいたい。ずっと人を好きになるのが怖かった。でも、あきくんのおかげで前に進めたんだよ」

右の手のひらで溢れる涙を拭っても、またすぐに濡れてしまう。

「あきくんと一緒にいると笑顔になれる、幸せな気持ちになれる。肌に触れる時も他の人と比べ物にならないくらい気持ち良くて、心が満たされるの」

涙で気を引こうだなんて思っていない。ただただ勝手に溢れてくる。

あきくんがいなくなるなんて、悲しくて寂しくて、抑えることが出来ない。


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