ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
「あきくんの練習台になるだなんて言ったけど、今はそんなの嫌だよ。あきくんにはわたしだけに触って欲しい。わたしもあきくんだけに触れたい」
あきくんは脚の上で握りこぶしを作っている。その握りこぶしの上に自分の手を重ねた。涙で濡れた手だったけど、そんなのどうでも良かった。
彼の手に触れたかった。暖かい、男の人の手。
あきくんはわたしの手を見つめている。唇を少し噛みながら。
「昨日の人とはもう終わったの、本当に。前あきくんが見た人ともバイバイした。ちゃんと終わらせてから自分の気持ち伝えたかったから」
ちゃんと目を見て伝えなきゃ。泣いてボロボロだけど、この好きっていう気持ちを。
「あきくんが好き。何回言っても足りないくらい好きなの。やっと、また人を好きになれたの」
ずっとわたしの手を見ていた彼の視線がわたしに向いた。
握りこぶしは解かれて、その手はわたしの背中にまわった。
力強く、ギュッと抱きしめられる。
暖かい体温に包まれて安心したのか、身体からスーッと力が抜けていくのが分かる。ポカポカして、幸せな気持ち。