隣の部屋にフランス人

多分…というか、
そうだと思うんだけど、
私と王子は対照的な子供時代を送った気がする…

「ルイー、今寂しくない?」

「うん、リリーがいるから」

ひょんなことで、知ってしまった王子の過去…

「俺、日本に来て生活は本当によくなったんだ!
リリーに会って、やっと生きてるんだ、俺!」

王子…

「この話終わりな!俺の話はいつも面白くない」

ちょうど注文した料理が運ばれてきたから
話を止めるいいタイミングだった。

「おいしそう!リリー、食べよう」

「う、うん…」


別に王子がかわいそうだとか、
同情してるわけじゃなくて、
ただ、この人は大切にしたいなって…
今、強く思った…

こんなこと考えるキャラじゃないのにね、私。

「おいしいね、リリー」

器用にナイフとフォークを使いこなす王子に
見とれて、私は食べることも忘れていた。

そりゃ、子供のころから、箸じゃなくて、
これ使ってるんだもんね。
上手くなるのも当たり前か。

いや、こんなことでいちいち反応する私って何なの…

こんな感じで、王子の少し悲しいことを知ってしまったけど、
いつものように王子のペースでクリスマスは終わっていった。

あ、プレゼントは、ブレスレットをもらいました。
全然かわいくない、縄みたいなやつ…ううう…
王子は、女の子の好みをよく知らないみたいだ…泣
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