再会は、健康診断で。

「うん、そういう航を好きになったんだし。でも、ここじゃやだ」


甘えるようにそう言われたら、そこは言うことを聞くしかない。お願い、というように胸に頬を擦り寄せてくるかえを抱きしめて、ぐっと自分の欲望を抑える。


「分かった、我慢する」


「ありがとう、航」


ニコッと笑ったかえが、よくできましたとばかりに頭を撫でてくれる。


……あれ。俺、もしかしてしつけされてる? でも、まあかえにならしつけされてもいいかな。


なんかかえも楽しそうだし、たまには待てもした方がいいのかな。言うこと聞かないからって、捨てられたら悲惨だしな。


「俺のこと捨てないでね、かえ」


わりと本気でそう言った俺に、目を丸くしたかえがぷっと吹き出す。


「そんな捨てられた仔犬みたいな顔で。結婚するんだから、もっとどーんとしててもいいのに。そういうところ、かわいいけど」


よしよしと犬をかわいがるように頭を撫でられて、ちょっと複雑な気分になる。


かわいいって、男としてどうなんだろう。考え込む俺に、かえがいつもの俺みたいにぎゅうっとくっついてくる。


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