再会は、健康診断で。

「ひどっ。あー、ダメだ。力が出ない」


「重症だな。仕事に影響しないところが意外だったけどな。平根はそういうの、仕事に出るタイプだと思ってた」


食欲も出ず、社食のご飯を半分くらい食べたところで机に突っ伏す俺を見て、結城さんの隣に座っている高倉さんが笑っている。


「俺もそう思ってました。まあ、怪我でもされて労災なんか起こされた日には管理職としてはたまんないからな。気をつけろよ」


辛辣な口調だけど、一応は心配してくれてるらしい結城さんの言葉に、ちょっと笑ってしまう。


この人、奥さんにはデレデレだけど基本ツンデレだよな。いや、俺にはツンしかないけど。ニュータイプのツンデレなのか、照れ屋なんだろうな。


「俺、こう見えて仕事きっちり人間なんで。でもまあ、気をつけますね」


笑顔を向ける俺を無視して、結城さんは高倉さんのほうを見る。


「今日、歩ちゃん健診に来てるんですよね。会いに行かないんですか?」


「前と違って家に帰れば会えるからな。四月に入った新人の子と来てるみたいだけど。若い奴等がかわいい子がいるって騒いでた」


うわー、落ち込んでる俺を無視して普通に喋ってるし。ひどい先輩たちだわ。


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