再会は、健康診断で。

今日は春の健康診断の日だ。高倉さんは受けるのが今日ではない。結婚してからは奥さんの来ない日に受けるようにしているみたいだ。俺と結城さんは、今日受けることになっている。


でも、そっか。今日、歩さん来てるんだ。


「高倉さん、癒し系の奥さんに慰めてもらってもいいですか?」


「だめ」


うわ、即答だし。しかも真顔だし。高倉さんてもっと余裕がある感じなのかと思ってた。本当に歩さんのこと好きなんだな。そんな人と結婚できてマジでうらやましい。


「ひどいな。こんなに落ち込んでるのに……ちょっとぐらいいいじゃないですか」


「絶対だめ。歩は俺のだから、ちょっともだめ。俺、心狭いから」


眉を下げて笑った高倉さんの言葉に、ニヤッと笑った結城さんが猫みたいな目を細めて俺を見る。


「安心してください。平根が歩ちゃんに変なことしないように、俺がしっかりと見張っときますからね」


「……お前も危ないけどな。歩に絡むなよ」


高倉さんに釘をさされて、結城さんは苦笑いをしている。





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