再会は、健康診断で。

「怒ってやろうと思ったのに、反省はしてるんだね。そんな顔されると、怒れないな。腹囲、ここで測るからベッドの横に立ってもらえるかな」


心電図の検査が終わってから、歩さんに言われた通り大人しくベッドの横に立って作業着をまくりあげる。臍回りを見えるようにすると、歩さんが俺の身体にメジャーを巻いて腹囲を測ってくれる。


「高倉さんに言いつけます?」


腹囲測定が終わってからポツリと呟くと、歩さんが少し笑って俺の背中を軽く叩く。


「私が言わなくても、結城さんが言うでしょ。これで検査は終わりだから、今日はかえちゃんに会っちゃダメよ」


釘を刺されて、シュンとして泣きそうになる俺を見て、歩さんが苦笑いする。


「かえちゃんもきっと混乱してるから、少し時間を置いたほうがいいと思うの。弁解するための協力ならしてあげるから、ね」


歩さんに言い聞かせるみたいにそう言われて、俺は渋々それにうなずいて健診会場を出る。


受付に問診表を返した俺は、外に出てため息をつきながらしゃがみこんだ。


俺、本当になにをやってんだろう。もう二十代も後半になるっていうのに、こんなんじゃだめだよな。

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