再会は、健康診断で。

「宮田さん、こいつ俺の後輩なんですけど血の気多くて有り余ってるから五百ccくらい抜いてやってもらえます? あ、何回ぶっ刺してもいいですから」


すげぇな結城さん、看護師さんの名前まで覚えてるんだ。さすが、百戦錬磨のモテ男。


そういうところ、マジ尊敬するわ。ていうか俺、注射苦手なんだけど。


「五百ccはさすがに無理だけど、結城くんの頼みならちょっと多目にとっておくわね」


ニコッと笑った看護師さんに、腕にゴムをきつく巻かれて俺は青くなる。これは、西川を泣かせた罰かな。


苦手でも、そう思えば耐えられるかも。


何回やっても慣れない独特の感覚に耐えていると、結城さんは高倉さんの奥さんと腹囲のカーテンの中に入っていく。


西川は……こんな場所であんなことをしてしまった俺を軽蔑しているだろうか。本当に俺、なにをやっているんだろうな。


暗い気持ちで採血を終えて心電図の検査をしていると、メジャーを持った歩さんが来て困ったように眉を下げて俺を見る。



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