再会は、健康診断で。

「黒崎さんて、ここによく来るんですか?」


「いや、初めて。事務の子にこのカフェのこと聞いたんだ。女の子はこういうところ、好きでしょ?」


ニコッと微笑んだ黒崎さんに私は目を丸くする。え、じゃあ私のためにここにしてくれたの?


「そうですね。会社の近くにこんなにかわいいカフェがあるなんて、全然知らなかったです」


どこを見ていればいいか分からなくて、お店のインテリアに目を向けてみる。だけど、ものすごく視線を感じる。


チラッと黒崎さんのほうを見ると、黒崎さんは頬杖をついて私を見つめていた。私と目が合っても、逸らそうとせず笑みを浮かべている。


え、なんで……そんなにじっと見ているんだろう。


「あの……なんですか?」


「んー……やっぱりかわいいなと思って。入社してきたときから、いいなって思ってたんだよね」


か、かわいいって。黒崎さんて、よく知らないけどなんかモテそうだな。


顔も高倉さんと結城さんの旦那さんに負けないくらい整っているし、言動とか素振りとか、女の子のツボを心得てる感じがする。


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