再会は、健康診断で。

「本当に、ごめん。あんなところでキスしたことも、小学校の頃いじめてたことも……本当にごめん」


勢いよく頭を下げた平根が言ったその言葉に、私はぎゅっと唇を噛んでからふうっと息を吐いた。


「もう、いいよ」


そう言った私に、平根は顔をあげて驚いたように目を見開く。


「え……?」


「だから、もういいよ。もう怒ってないから」


平根からの手紙を読んで、会おうと決めたときにはもう許してたからそう伝えると、平根は信じられないみたいで目を丸くしてる。


「え、本当に? 本当に許してくれるの?」


「うん、会おうって決めたときにはもう許してた。手紙、うれしかったし。相変わらず字下手だし毎回違うやつだったけどあんなに買ってたの?」


小・中学校の頃の暗い思い出も、平根の気持ちを知ったらなんとなく悪いものだけではなくなった。


思い返せばあちこちに好意の表れはあった気がする。


友達が出来なかったのも平根のせいばかりにしてたけど、私が努力しなかったせいもあると思う。


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