元カレバンドDX
「あ、そういえば彼氏とはどう?特に変わらない感じ?」

「そうだね~。お互い働き始めちゃったから、学生の頃よりは会う回数が減ったけど、まぁうまくいってるかな」

 紅茶を飲みながら穏やかな表情で話す小巻に、大人の余裕を感じる。

「陽愛は?まだ“彼氏作らない宣言”実行中?」

「当たり前だよ!デビューするまで絶対彼氏は作りません!」

「恋愛体質の陽愛には、絶対無理だと思うんだけどな~わたしの予想ではそろそろ限界だね」

「いや、絶対に作らないね!」

「じゃあ賭ける?」

「いいよ!」

 あたしたちの笑い声は、絶妙なハーモニーを作って店内を響かせた。

 目の前には、学食の定食もオムライスもないけれど、大学の食堂にタイムスリップしたような、そんな懐かしい気分だった。

 そんなあたしと小巻のガールズトークは、尽きることを知らず、“とりあえずお茶”のつもりが、結局あとからパスタを頼み、夕ごはんまで済ませてしまうのだった。

「じゃあ、そろそろ帰ろっか」

 食事も一段落したところで、小巻に声を掛ける。

「そうだね。陽愛、終電大丈夫~?」

「ちょっと、そこまで田舎じゃないんですけど~」

 小巻のノリは、相変わらず抜群だ。

 そして、伝票を持って、レジの前に立ったときだった。
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