元カレバンドDX
「あ、特に何もしてません……いろんなオーディションに書類とデモ音源を送ったり……しています」

 丸山の次の言葉がすごく気になる。

 メガネの奥の柔らかい瞳が、一瞬光ったような、そんな気がした。

「そうですか。それはちょうどいい。ぜひ一緒に素晴らしいバンドをつくりませんか?」

「!?」

 あたしは声が出なかった。

 あたしにとって、それはまるでプロポーズの言葉だ。

 嬉しさと驚きでまだ声が出ない。

 神様は確実にいると思った。

 とんだ急展開である。

「デ、デビューできるってことですか!?」

 それがあたしの驚いたあとの第一声だった。

「もちろんその方向で動きますよ」

 目の前にいる丸山が、可愛いタヌキではなく大黒様に見えた。

 七福神の一柱(いちはしら)である。

「あの、ほかのメンバーってもう決まってるんですか?」

 早くデビューしたいあたしにとって、それは気になるところだ。
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