水泳のお時間<番外編>
しかしどんなに頑張っても、どんな汚い手を使っても


スポーツも、勉強も、女でさえも


あの男の存在がある限り、俺が再び一位になれることはなく…



俺が確かな手ごたえを感じても、

あの男はその予想をはるかに超えるくらい、その上を軽々と飛び越えてきた。


どんな事も簡単にこなしてしまう、その器用さに、

俺はこのとき初めて人に負けたと思った。


生まれて初めて、自分の限界を感じたとさえ思った。






――それから二年が過ぎた、高校三年の冬。


この頃にはとっくに俺の中の「一位の座で在りつづける」という

そんなくだらない信念はどうでもよくなり、女遊びに明け暮れていた日。


帰り際、放課後の教室で久しぶりにあいつの姿を見た。
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