white coat
支度を済ませて俺も寝室に向かった
杏乃は端によって眠っている
「ごめんな…」
頭を撫でてから俺も目を瞑った
夜中
「フッ…ンッ…ハァッハァ」
隣から苦しそうな呼吸が聞こえて目を開けると、杏乃が俺の服を握りしめながら声を殺して泣いていた
もうすでに過呼吸気味になっていて、急いで杏乃の体を起こす
「杏乃、落ち着いて。1回泣きやも」
「ちがッ…ハァッ…いたッい…!」
「ん、え?心臓?」
こくっ と頷いた杏乃を見て部屋の電気をつけて仕事用のカバンをあさる
「服開けるよ」
「…んッ…!」
首を横に振って服を抑える杏乃
「杏乃、すぐ終わらせるから」
「やッ…!」
杏乃の手を片手で抑えて、俺は服を捲った
その時俺の目に飛び込んできたのは、無数にできたあざと傷だった
杏乃はもがいて俺から離れようとする
そんな杏乃を抑え直して聴診器をあてる
「まってて、注射用意するから」
今は傷よりも発作を止めることが優先
処置を初めて10分で心臓の発作は治まった
「…ん…ハァ」
「…杏乃…」
ぐったりする杏乃に、傷のことを聞くことはできなかった