white coat




それから杏乃が目を覚ましたのは次の日だった




「……ん…」


「おはよ」


「…明音」



つけていた酸素マスクを外すと少し苦しそうにしたけどすぐに戻った



「…ごめんね、心配かけ、て」


「……なんで言わなかった?」


「……」



「これだけじゃないよね?…前から、だよね?こんなことされたの」


「……」



「なんで言わなかったの?」


「……ごめん」


「謝って欲しいわけじゃない。ただなんで杏乃が俺を頼らなかったのか。聞きたいだけだから」



ちがう。こんなこと言ったって杏乃を追い込むだけ。



そんなの、わかってるのに


悔しくて


杏乃が俺を頼ってくれなかったことが


すげぇ悔しくて




気持ちとは裏腹に口が先走る




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