white coat
「水持ってくるな」
「うん」
明音がキッチンに行って、あたしはソファに体を沈めた
5分経っても明音が来ない。
10分経っても物音もしない…
なんかおかしい…?
「明音?」
声をかけてもなんも返ってこない…
痛む体を無理やり起こしてキッチンに向かって壁伝いに歩く
「…あき、と?」
キッチンに壁にもたれかかって座っていた明音
「明音。どうしたの?」
肩を触ってびっくりしたのは、ありえないくらい熱かったから
「明音、あーきーと!」
「…ん」
「具合悪いの?大丈夫?」
「…大丈夫」
「大丈夫じゃないじゃん!立てる?ベッドまで歩ける?」
「…ごめん…むり」
熱あるなんて気づかなかった
だから仕事早く終わったんだ
なのにあたしが…
「明音……どうしよ」
わたわたとするあたしの手を掴んだ明音
「俺のことは気にしなくていい…杏乃は寝てていいから」
「だめだよ!」
「……ありがとな。無理はしなくていいからな?」
「うん。ベッドまで肩貸すから歩ける?」
「…おう」
あたしの肩は借りないでゆっくり歩き始めた