white coat


「あ、あとその男の子も心臓に病気持ってるから何かあったら助けてやってな」



あたしだって病人なんだけど…



「ナースコール押すだけでいいからさ」


「わかった…」



「杏乃がなんかあった時も助けてくれると思うし。じゃあそういうことで」



「仕事頑張ってね」



「おう」




病室から明音が出ていくとシンと空気が冷たくなった気がした



てかカーテン開けていったし…




斜め前のベッドに目を向ければメガネを開けた男子とばっちり目が合った




「あ、どーも…」


なんか恥ずかしくて挨拶してみる




「……」



は、無視!?


なんかムキになったあたしは少し声を大きくして



「白木 杏乃です」



って、自己紹介した



「……」



また無視!?



なんなの。



「あの、名前教えてくれませんか?」



「……」



くそ



「どこ校ですか?あたしは東高!」


「……」




あーーー!!!

なんなのこいつ!?




「あの、さっきから無…」


「おまえ」


「え?」


「おまえ…会ったことある…」



「え、は?意味わかんない」



ぐるぐると回想するけどまったく覚えてない



「……お前中学ん時…施設にいたろ」



その言葉に一瞬心臓がドキンと跳ねた



あたしが中2のとき


親からの暴力が酷くて施設に送られた







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