みんなみたいに上手に生きられない君へ
だけど、私は珠希ちゃんが大好きだ。



「珠希ちゃんは、......特別だから。

一年生のときに、何人かが私の陰口を言っているのを聞いちゃったんだけど、珠希ちゃんだけが言わなかったでしょ?その時から特別なの」

「そんなことあった?」



珠希ちゃんは不思議そうな顔をしてから、必死に思いだそうとがんばってるみたいだった。

いいんだ、珠希ちゃんが忘れていても。
そんなことで?って、人に言われても。

みんなで誰かの悪口を言っている時って、ああいう時って、そうは思わなくても、なんとなく自分も言わなきゃいけないみたいな雰囲気があるけど、そうしなかった珠希ちゃんが好き。

自分をしっかり持ってる珠希ちゃんが好きだから。

たとえ、弱い部分を持っていたとしても。



「私は、珠希ちゃんが好き。
珠希ちゃんがさみしい時は、いつでも珠希ちゃんのところにいく」



珠希ちゃんは、明るくて強そうに見えて、本当はすごく繊細な女の子だと、あの日知った。

切り替えが早くて、次から次に付き合っているように見えて、本当は人一倍さみしがりやで、誰かが一緒にいないと生きていけない女の子だと、あの日知った。


心の穴を埋めたくて、すぐに次の彼氏を見つけてしまう。
誰かと付き合うと依存し過ぎて、すぐにフラれてしまう。
それの繰りかえし、やめたくても止められない。

依存症かもしれない、と泣きながら叫んでいた、あの日の、金曜の夜に知ったんだ。
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