みんなみたいに上手に生きられない君へ
月子さん、小学校卒業おめでとうございます

その一文から始まり、綺麗だけど筆圧の薄い文字で、真っ白い便箋は、びっしりと埋められていた。


小学校卒業......。

そういえば、小学校を卒業するときに、お父さんと手紙を交換しましょう、なんて学校の先生に言われて、交換したかもしれない。


ということは、この手紙はお父さんから私への手紙のはず。もらったような記憶はあるけど、内容は全く記憶にない。

自分がお父さんへの手紙に何書いたかも覚えてないし......。  

だいぶ前のことだし、ちらっと読んだだけで忘れちゃったのかな。


いったいどんなこと書かれてるんだろう。


ケンカしているというわけでもないけど、お父さんと話すことはめったにない。

何話していいのか分からないし、話しにくい雰囲気があつって、なんとなく一緒にいると気まずい。 

お母さんほどではないけど、お父さんも苦手。









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