両想い大作戦‼
Startegy 4
私はここで家に帰ってから連絡してみた。

あっちから来ないんだったらこっちから。

呼び出し音…プルル…プルル…プルル…でない…


一ガチャ一

「はい」

でた‼でた‼でた‼


「舞だよ」

「知ってる…」

ですよね…画面にでるもんね…

「何してたの?」

「音楽聞いてた…」

「そうなんだ…」

無言…ヤバイ…何か言わなきゃ…

「ブーは今帰り?」

「うん、そうだよ…声聞きたくて」

「だけ?」

「だけじゃダメ?」

「別に…」

「ねぇ…私今何点?」

「んー…60点かな」

クスクス笑う声…「何それ?」女の子と一緒?

「女の子の声する…」

「あぁ…友達」

「そうなの?」

「俺、詮索されるの嫌いだよ」

「わかった…切るね…」

誰なんだろう…私彼女だよ…一応…

一方通行でも…

行ったことない…航大くんの部屋…


やっぱりハードル高い?

初めての恋でこんなに読めないと…お先真っ暗じゃん…。


恋は病だ…完全に自分を失う…。

この病に深くかかった私には薬すらない。


あんなに大好きだったお菓子もご飯も喉を通らない。


私は何のために頑張ってるのかわからなくなってきた。


「両想い」なんて無理かも…。


そんな時は別のことを考えてみる。

けど…無理だ。

私は気付けば航大くんの理想の体重になってた…。


これで完璧だと思ったけど、まだまだ程遠い。


今の私にできることはなんだろう?


もともとそういう人なの?


私…決めた…彼女の力を借りよう…プライドなんてない。

いらない‼


次の日の朝…発見‼「佐久間さん‼」

びっくりした顔で振り返った。

「お願い‼話し聞きたいの…」

「ちょっと…待ってて…」

カバンを置いて私のところに来た。

「場所変えよう」って人目のつかない場所へ行った。


佐久間さんは「航大のこと?」

「………全然、読めなくて…一応付き合えたんだけど…」


「読めないよね?私と一緒」


「もともとそうなの?航大くん」


「そう…もともと…」


「そうなんだ…」


「私だけが想ってるみたいで寂しかった…」


「一緒だ…」


「私には航大の攻略法はわかんないよ」

と…


佐久間さんでも読めない彼を私は読めるようになるのか。

壊滅的に無理です。


「そうなんだ…私どうしたらいいかわからない」

弱音がポロっとでてしまった。

「私にもどうしたらいいかわからない…それに今航大が求めてるのは私じゃない…」


そうかな…航大くんは佐久間さんが今でも好きだよ。

気づかない振りしてたけど、航大くんの視線の先にはいつもあなたがいるよ…。


泣きたい気持ちを抑えて教室に戻った。

航大くんの顔見れない。

下を向いて見ないように見ないように席についた。

今日は一言も話してない。

「おはよう」すら言ってない。


こんな気持ちでも部活に行った。

ぼぅっとしてるからラケット忘れて教室へ戻った。

悪いことは重なる…

教室から大きな音。

一ガタッ一

私はそぉっと覗いてみた。

航大くんと佐久間さん…。


「俺に何か用?」

「桜木さんと付き合ってるって聞いたよ」

「あぁ…」

「私と同じ事してる…」

「はぁ…どういう意味?」

「寂しい気持ちにさせてるよ」

「俺はこういう男だから…」

「変わらないと…大切な人に気付けないよ」

「お前に言われたくないけど」


「航大…」


私は隠れた。

佐久間さん…私色んな人巻き込んで何したいんだろう?

そうまでして航大くんと両想いになりたい訳じゃない。


「別れようかな…」

まだ始まってもいないのにね…。

今だから引き返せるよね…?


私は悩んだ末…

「航大くん…彼女やめるね?」

「わかった…」


また一からやり直せばいい。


「だから素直になって佐久間さんに気持ちつたえたら?」


「余計なお世話だから…」


「私…航大くんのこと諦めてないから‼」


そう言ってケータイを切った。

精一杯の強がり。

無駄にしないで…私の気持ち。


それでも最高に行きたくない学校に行かなきゃいけない。

今までそんな日なかったなぁ…なんて考えてたらサボりたくなった。

回れ右‼

家に到着‼

「ただいま…」

誰もいない。

マロンだけ。

マロンは話せない。当たり前。

今の私にはマロンが一番いい。

何も言わないから…泣いてることも…悩んでいることも。


一人の家は広いし、静か。

リビングで横になった。

天井を見つめてたら涙で滲んでいく…

泣いても泣いても涙がでる…


誰か涙腺しめてください‼お願いします‼


ふと見たカレンダー。

「クリスマス」関係ない。

私のクリスマスの過ごし方

その1 無駄にケータイを持たない。

その2 無駄に部屋からでない。


以上‼


外からの情報をシャットアウト‼これに限る‼


こういうことはすぐ思いつくんだよね。

違う方向に生かせたらいいのになぁ…。
< 5 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop