最期の時間を君と共に
ゆずきちゃんの隣を歩くのには、気が引けた。それは私がブサイクに見えちゃうから、とかじゃない。皆の憧れの存在である彼女の横を歩くのに、私は相応しくないからだ。

「すーずしい……っ」

「涼しいー……」

2人で同じように伸びをする。肌にあたる風が、ひんやりしていて気持ちいい。

「……」

「……」

話題探さなきゃ。盛り上がる話題……、なんだろう。

「私ね、ずっと遥ちゃんと話してみたかったんだー」

「え、わ、私と……?」

驚きと嬉しさが混じって、言葉が途切れ途切れになる。こんな、1つも取り柄のない私と話してみたかったなんて。
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