最期の時間を君と共に
「誓でいい。くん付けなんて鳥肌たつ」

なら最初から言えばいいじゃないか。なんなんだ。ゆずきはあんなにも愛想よしなのに。正反対じゃないか。って、まぁ、比べるのもよくないか。

「わかった。誓ね」

「ああ。じゃ、俺も遥って呼ぶから」

「どうぞ」

こんな奴に愛想笑いを浮かべたって意味がない。私は感情のままに仏頂面をするが、誓は見もせずに階段を登っていった。

「なんなの……?」

わなわなと怒りがやってくる。誓のあとを追うかのように、階段を思い切り踏みながら登る。
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