最期の時間を君と共に
2人で、6年間登下校に使った道を歩く。家から、時間にすれば30分はかかるであろう小学校。その道を、小学生よりもゆっくりと行く。途中で思い出の詰まった公園や、たくさん行った駄菓子屋、色々なものがある。なくなってしまったところもあるけど、あるもののほうが多い。
たくさん他愛もない話をする。今日が最終日だと思えないくらい誓は自然で、今日が最終日なのか疑ってしまう。

「……着いた」

小学校の校門の前に着く。教室で授業をしているようだ。

「ね、ぐるっとまわってみようよ」

「おぅ」

私たちの過去にある小学校と照らし合わせるように確認する。先生は変わってしまっていても、小学校は変わっていなかった。周りに立つ木々も、変わっていない。

「変わってないね」

「あぁ」

ぐるりとまわった私たちは、校門の正面から少し左にズレた位置に立つ。懐かしむように眺めていたら、変わらないチャイムが鳴り響いた。授業が終わったようで、幼い声がたくさん合わさって聞こえてくる。可愛らしい声だ。
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