最期の時間を君と共に
ふと、渡り廊下を歩いている中年男性の先生と目が合った。気のせいかと思ったが、明らかにこちらに向かって歩いてきている。私たち不審者に見えちゃったりしているのかな?確かに学校も行かずにここにいるのはおかしいかもしれないけど……。

「君たち、卒業生かい?」

「えっ?あ、そうです」

なんで卒業生って分かったんだろう。こんな先生、私たちのときはいなかったし……。あれかな?私たちと同じように卒業生の子が来ているからかな。

「あぁ、やっぱり」

“やっぱり”?垂れ目がさらに垂れる。首に下げられた名札には京田 智明とかかれている。

「なんでやっぱりなんです?」

誓が疑問に思ったことをぶつける。私もやっぱりというのに引っかかった。

「君たちにそっくりな写真があったから、もしかして、と思ってね」

私たちにそっくりな写真……?ますます、はてなマークが増える。
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