1ページの物語。
-姉の恋人-


姉が彼氏と別れた。


10年目というキリの良い所で2人の物語は終わった。


とても仲の良い恋人同士だったのに結末は姉の浮気という何とも言い難いバッドエンドで2人は違う人生のスタートが始まった。


姉の彼氏は私が16歳の頃に出会った。

人見知りな私の性格と姉の彼氏というフォルダの人と会うのが初めての緊張で何も話す事もなくお辞儀をして帰ったのを未だに覚えている。

あれから10年。

少しずつ距離を縮め、今では本当の兄の様に慕っていた。


あ、もう今ではないのだ。


もう彼と私は会う機会は一生無く、少しずつ顔も忘れ何十年後には名前すら忘れていってしまう、

そんなポジションになってしまったのだ。


だって彼はもう姉の彼氏ではないのだ。


姉の彼氏ではなくなった彼と私の関係は何も無いただの他人。


半年前はゲームをする程仲の良い関係だったのに

きっと今はお互い街で見かけても気づいてないふりをしてソッと背中を向けて逃げるだろう。


そんな関係になってしまった。


彼はただの姉の元恋人。


しかし、私の中では兄の様なまた父の様なある意味特別な人。


私はきっと姉に新しい恋人ができたら数ヶ月は認めないだろう。


だって姉の恋人はあの人しか思い当たらないから。


でもそんな感情もきっと、新しい恋人と接し、時間が過ぎていったら彼と同じくらい親しく感じるはずだ。



だけど、今寂しく感じるこの感情は彼のために送ろう。

どうか貴方も姉以上に大切な人を見つけ、姉以上に大切に、幸せにしてあげて下さい。


兄と認めていた貴方へ。


【姉の恋人】


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