君の隣で花が散る
「まじありえなーい」

「ほんと意味わかんなくなーい」


体育館と校舎を繋ぐ渡り廊下に、少し怒りが含まれた女子たちの声が通る。


夕方の空に茜色が広がる。


文化祭がとうとう明日に迫った。

学校内もよりいっそう、そわそわしだしている。


「一年だから?!」

「だからってリハーサルさせないの??」


女子たちの怒りの原因は先ほど行われた文化祭のリハーサルにあった。

二年生や三年生の出し物が予定以上に長引いて、一年生の出し物のリハーサルが十分にできなかった。

特にファッションショーは全体的な流れの確認だけだった。


そのことにクラスの女子たちが角を立てていた。


「初めての高校の文化祭なのに......!」




肩を怒りに震わせながらも、皆教室に着き、席に座った。




「今回のリハーサルは不快な思いをさせてしまったのかもしれん」


担任が頭を下げた。


「すまない」


女子たちは大声で怒ろうにも怒れなかった。

それは、担任の先生は全力を尽くしたことを皆知っていたからだ。

ほかの先生方に頭を下げて回ったそうだ。


担任が悪いわけじゃない。

それなのに謝られたりしたら、怒る気も失せてしまう。


「SHRをはじめよう......」


微妙な雰囲気の中、SHRが始まった。


誰も喋らず、誰も動かなかった。

不思議と物音を立てるものをいなかった。
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