上司な同期は激甘サンタ
うわぁー。その笑顔はダメでしょー!
そんなわかりやすく満面の笑み浮かべられちゃったら、勘違いしてしまいそうだ。


落ち着いていて、いつも静かな雰囲気の木崎君が、こんな風に笑うなんて初めて見た。なんだかちょっと可愛い。



「今日は奢るからさ、江藤の好きなもの食べに行こうよ。どこに行く?」

肩の荷が下りた様子で楽しそうに話す木崎君は女子に人気のイタリアンやバストロの名前を挙げる。


女の子らしいっていう好きなコを連れてってるんだろうか。モヤモヤする気持ちを隠しきれなくて、返事が少しつっけんどんになってしまった。

「そんなお店は彼女と行きなよ。
人事異動は会社の都合なんだし、ただの同期に奢らなくっても大丈夫だから。」

「俺、彼女いないよ。それに俺が江藤に奢りたいんだからさ。江藤は気にせず素直に奢られてよ。」

木崎君はフッと笑うと伝票を持って立ち上がった。
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