bajo la luz de la luna

―la cantante efimera

 ――ザワザワと騒がしい船上の客達は、何も知らずにアンヘラの登場を今か今かと待っている。そんな彼らに混じって、アタシ達ローサとチェーロ、そしてクレオの面々は、それぞれ会場内を見回っていた。

 三ファミリー総勢20名での任務。あまり多すぎても少なすぎてもいけないと考えた結果、この人数になったのだった。群とルイ君が優秀な部下を何人も回してくれたから、こちらとしては大助かりである。

 船内をぐるりと回ってから、アタシ達はアンヘラが待つ大きな控室へ集められた。アロンソ氏が『事前に彼女に対面して欲しい』と言ってくれたからだ。

 緊張した面持ちでセピア色のスーツに包まれているルイ君・落ち着いた表情で濃いグレーのバーティカルストライプスーツを着た群が、アタシを挟んで立つ。二人が静かな色を纏っているものだから、スカーレットの肩紐ドレスにラメの入った黒いストール姿のアタシはとても浮いている。ガルシアが“だからソニアと被っても良いから黒にすれば良かったのに”と言いたげな視線を送ってきたが、無視。良いじゃないの、人間好きな色を身に付けるのが幸せなんだから。



『……皆様お集まりですね?では、事件の詳細をお話しします。』
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