bajo la luz de la luna
 “それはお前も分かってんだろ?”という含意がひしひしと伝わってくる。彼は大人だから素直にそう思えるのだろうが、アタシはそうはいかない。二つの考えが反発し合って、考えがなかなかまとまらないのだ。



「それは、分かっているけれど……」

「あぁ。お前の思いは、俺も多少は分かってるつもりだ。だからこそ、言っておく。
未来、感情に流されるな。この世界は、理性を欠いて冷静な判断が出来なくなった方の負けだ。イコール、“死”も意味するからな。お前の親父さんから教わったこと、忘れるんじゃねぇぞ。」



 じゃあな、体に気を付けろ。そう言われて電話が切れた。群とは出会って間もないのに、彼はアタシを何年も前から知っているかのように言う。いつも、いつも。

 だから、だろうか。群の言うことはいつも的を射ていて、アタシを納得させてしまう。アタシが子供なんだと、改めて思い知らされる。



『……ズルいわよ、アナタは。』



 本人の耳には、もう届いていない。意識したことはなかったのに、今更になって“6歳”という年の差が明白になる。大人びていると言われても、アタシは所詮18歳。群との間には、縮められない距離があるのだ。
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