bajo la luz de la luna
cuatro
 12月の風が、ライブを見終えてホールの外に出たアタシに吹き付ける。夜空には、僅かに星が瞬いている。

 今日はルイ君に誘われて、アンヘラのライブに来ていた。彼女の逞しい歌声には驚かされたけど、アタシの最大の驚きは、彼女があの水色ドレスの女、リンダ・ベラスコと一曲歌ったことだった。



『アンヘラさん、あの人と和解したらしいですよ。釈放されてすぐあの人が謝りに来て、段々と仲良くなってるみたいです。』

『そう……ねぇ、いい加減リンダのことも名前で呼んであげたら?アンヘラは彼女に怯えなくなったみたいだし、アタシはルイ君が怒る必要もなくなったと思うけど。』



 眉間に皺を寄せて考え込む若きクレオのボスは、アンヘラを大切に思うあまりにリンダを敵視しすぎているのだろう。だけど、やがてその堅い表情を解いて、『はい』と柔らかに笑う。



『……僕、凄く嫌だったんですよ。アンヘラさんを一瞬でも傷付けたリンダさんのことが。でも、思い直してくれたんなら許さなきゃいけないですよね。』



 頷いてやると、『今日は付き合って下さってありがとうございました!』の言葉と無邪気な笑顔。久し振りの再会は美しく彩られたのだった。
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