道の果て・・

諦め

奈津は間違いなく夏生の子だった。
それでも、それすら信じてもらえなかった。
私は夏生以外の男性とは
1度も関係を持ったこともないのに。

仕事がホステスだったせいで
そんな風には思ってもらえなかった。

私達は何度も彼の両親の説得に
足を運んだ。

月日は流れて、すでに彼は大学も
卒業して仕事も始めていた。
夏生は教師という仕事を
誇りに思い、一生懸命に
働いていた。
私達の未来を信じて。
両親もいつかは許してくれると信じて。

私は今まで暮らしていたマンションを
引き払って、田舎へと引っ越してきていた。

小さな一軒屋を借りて、そこでいつか
親子3人で暮らせることを夢みていた。
夏生も一緒に暮らすと言ったが
そうしてしまえば、彼の両親は
きっと頑なに結婚を許しては
くれないと思い、そして彼の仕事上、
結婚してない男女が共に暮らすことは
よくないと思い、私と奈津は2人で
その小さな家で暮らした。
彼は実家で生活しながら
私達の家へと通ってきていた。
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