ハルとオオカミ
「……別に、ヘンなことしねーからビビらなくていいよ。着替えは脱衣所に置いとくから、さっさとシャワー浴びてこい」
かあ、と顔が熱くなる。五十嵐くんは脱衣所と浴室について簡単に説明すると、部屋を出て行った。タオルを握りしめて、少しの間脱衣所に立ち尽くす。
……わかってるけど。
五十嵐くんと私は、あくまで『友達』だし。
意識する方がおかしな話なんだけどさ……。
「……うう。恥ずかしい……」
なんだか私だけアタフタしてる気がする。五十嵐くんは余裕たっぷりだ。
私はそもそも男の子のお家にお邪魔することが初めてだし、どうしても緊張しちゃうよ。
こういうところも彼と私の違いを実感して、寂しくなった。
『はるは、違うもんな』
……五十嵐くんも、私と自分は違うって思ってる?
なんだかやだな。
せっかく友達になれたのに。私と五十嵐くんの組み合わせって、やっぱり合ってないのかな……。